これで解決!介護QCのテーマ選びから発表の流れ
第3回は「介護QCのテーマ選びから発表の流れ」です。
どのようにQCのテーマを選んで発表するのかという流れを、僕が実際に選んだテーマを例にご紹介していきます。
目次
QCのテーマ選びから発表の流れ
第2回の記事
こちらでご紹介した「QCストーリーと問題解決の手順」をもう一度おさらいします。
- 手順① QCのテーマ選び
- 手順② 現状の把握
- 手順③ 目標の設定
- 手順④ 活動計画
- 手順⑤ 要因解析
- 手順⑥ 対策
- 手順⑦ 効果の確認
- 手順⑧ 標準化と管理の定着(歯止め)
- 手順⑨ 反省・今後の課題
- 手順⑩ まとめ・報告・発表
この上記10項目をそれぞれご紹介します。
手順① QCのテーマ選び
「テーマが決まらない」
僕は何をテーマにして良いのか全く分からず、QC発表が決まってから必死に考えました。
結局自分自身で考えても良い案が浮かばなかったので先輩からアドバイスを受け、「利用者さんに毎日水分を1500cc飲んでもらう」というテーマに決めました。
テーマを決めるのって難しいですね笑
そこで、テーマを選定する為には順序があります。
1.問題解決型と課題達成型のどちらが適しているか
(型の詳細は上記でご紹介した記事に記載しております。)
僕の場合は前者です。
2.問題点を洗い出す
問題点は身の回りや施設方針、課題から探しました。
何でも良いので(間違っていてもOK)出来るだけ多く出します。
ex.移乗に時間が掛かる、遅番の勤務が押す、事故報告書の作成が遅い等
3.問題点を整理して絞り込む
パレート図(上)やマトリックス図(下)を用いて整理します。
問題点を評価し、絞りこみます。
点数が高く、尚且つ業務への貢献度と実力に合った問題点を選びます。
4.テーマ名をつける
テーマ名は改善の対象と改善の度合いを入れて具体的に付けてます。
僕の場合、
×「利用者さんにもっと水分を飲んでもらう」
〇「利用者さんに毎日水分を1500cc飲んでもらう」
5.テーマの選定理由をまとめる
どうしてこのテーマに取り組むのか、選定の過程を事実・データで整理し理由をまとめます。
僕の場合は、施設で毎日水分を1500㏄飲むようにとなっていましたが実際は1000㏄~1200㏄の利用者さんがほとんどでした。(1000㏄以下の利用者さんも数名います。)
「全ての利用者さんが脱水症状にならず健康でいられる為に十分な水分を摂取してもらおう!」という理由でこのテーマにしました。
手順② 現状の把握
先ほど選定した問題点の現在の姿を明確にします。
・悪さを現象(結果)から把握する
・三現主義(①現地、②現物、③現認)で事実を正しくつかむ
(結果のみ追求し、原因は解析で追究する)
次に、データを収集してグラフ化します。
・時間別、場所別、種類別、症状別など層で分けデータを収集する
・ばらつきを見つけやすいQC手法を活用してグラフ化する
手順③ 目標の設定
目標は3つの要素で設定します。
僕ならテーマが、
利用者さんに毎日水分を1500cc飲んでもらう
なので、仮に11月に決めたテーマであるなら12月末までに達成したいとします。
「3つの要素」
- いつまでに(期間)・・・12月末までに
- 何を(目標の特性)・・・水分量
- どれだけ(目標値)・・・1500㏄
これだけ具体的に設定しておけば目標を目指しやすくなります。
同時にグラフ化を行って下さい。
(僕の場合であれば、現状の水分量1000㏄~1200㏄を実線、目標の1500㏄を点線でグラフ化)
手順④ 活動計画
問題解決の各手順①~⑩をスケジュール化します。
役割はQC活動を全員参加で効率よく問題解決する為、適材適所で決めます。
(僕は一人で全部やろうとしましたが、何時間残業したか分からないくらい大変だったのでせめて3,4人はいた方が良いと思います笑)
ガントチャート(上)で活動計画を作成しておくと分かりやすいです。
見にくいですが、縦軸に職員、横軸に時間(1月~12月等)を設定し、どの職員が2月~4月までに手順①を行う、というように使います。
手順⑤ 要因解析
特性に対し、「なぜ?」を5回繰り返し真の要因を洗い出します。
要因は4つのMから構成されます。
- 人:Man
- 機器:Machine
- 方法:Method
- 情報:Message
多くの要因の中から、重点と思われる要因を絞り込みます(仮説を立てる)。
※事実・データと共に、関係者の専門知識や経験を交えて絞り込みましょう
要因解析は特性要因図(上)でグラフ化します。
(フィッシュボーンチャートとも呼ばれます)
小さな4つの四角の中には4つの要因を当てはめ、大きな四角に特性を入れます。
僕の場合、大きな四角に利用者さんの1日の水分量が1500㏄未満なのはなぜかと入れます。
手順⑥ 対策
重点要因で上がった事実の調査(現状把握)を行います。
- 重点要因で上げた要因毎に対策を立案する。
- 対策案は幅広く多くの対策案を考える。
- 対策案を評価し、最適な対策を選ぶ。
(評価の基準は「効果の大きい」「コストが掛からない」「副作用が少ない」などをポイントにする)
評価・絞り込みはマトリックス図(上)がでグラフ化すると分かりやすいです。
手順⑦ 効果の確認
目標値が達成できたか確認し、未達成であれば前の手順に戻ります。
直接の有形効果以外の波及効果を把握します。
(前後の工程や副作用についても把握する)
個人やQCサークル、そして職場がどのように変わったのかを把握します。
手順⑧ 標準化と管理の定着(歯止め)
効果を持続するために5W1Hを元に対策を標準化(ルール化)します。
- いつ:When
- どこで:Where
- 誰が:Who
- 何を:What
- なぜ:Why
- どうやって:How
標準化した内容を担当者や関係者に周知徹底・教育訓練をします。
標準化した通りに業務を実施します。
その後、標準定着(ルールが守られ対策が持続出来ているか)の確認をしフォローを行います。
手順⑨ 反省・今後の課題
活動の進め方の反省を行います。
- 活動計画と実績の差異
- 計画の立て方や目標の立て方
QCサークル活動の場合、その運営の仕方について良かった点や悪かった点を反省し、次期活動に反映させます。
(未解決や残された問題点を明らかにし、次回の活動に反映)
僕の場合の問題点は、水分摂取が困難な利用者さんや食事時以外に水分を飲まないと言う利用者さんには1500㏄を摂取して頂けなかったことを改善しなければな・・・と思っています。
手順⑩ まとめ・報告・発表
最後に、今までやってきた手順①~⑨をパワーポイントにまとめます。
パワーポイントへのまとめ方は、文章よりもグラフや表、画像を使って視覚的に分かりやすい構成にして下さい。
これまで実測してきた内容が、文章だけでは説得力がなくなり聞いていて退屈になってしまいます。
最後は完成したパワーポイントを舞台で発表をして完結です!
発表時間内に終えられるよう練習しておきましょう。
まとめ
以上で「介護QCのテーマ選びから発表の流れ」をおわります。
どうしてもテーマが決まらないときは介護QCの活動やテーマは冊子にまとめてあったりインターネット上に載っているので参考にしてみてください。
他の施設で行っているQC活動は日常業務を改善できる内容が多いので一度見てみると勉強になりますよ!笑
本日も長々と読んで頂きありがとうございました。
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